通電しないGTX1070の修理に挑戦
最近では余剰在庫の処分でグラボ価格が急落しているようですが、RTX3080のジャンク相場が4万円ほどになってきて金銭感覚が狂っている管理人です。
さて、今回修理に挑戦数るのはPalitのGTX1070 Dualです。通電せずファンすら回らないとのことで購入してみました。

ファンはガタガタしていてまともに回りそうにありません。おそらくマイニングに使用されたものと思われます。このグラボのファンはシャフトとハブの接合部の耐久性が弱いようで、そこから壊れたようです。似たような原因でファンが壊れることはよく見ます。高級なPCケース用ファンだとこの部分は金属製のものもあるので壊れやすい箇所なんだと思います。

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修理成功までの流れ
電源端子の抵抗値確認
分解前に短絡していないかどうかを確認します。テスターをダイオードレンジに設定して、短絡を確認します。2本のプローブが導通すると、音が鳴ることで確認できます。また、テスターに抵抗値が表示されます。まずはPCIE-12VとPCIE-3.3Vの抵抗値確認です。
カードを手前にしてPCIE電源端子の一番左が12V、右から4つ目が3.3Vです。

続いて補助電源12Vの抵抗値を確認します。おおよそ1kΩですが、∞(ヒューズ切れ)か短絡でなければ問題ないでしょう。

計測を行った結果、PCIE12V、PCIE3.3V、独立電源12Vはすべて正常でした。
起動確認

マザーボードに刺してどのような反応をするか見ていきます。
パソコン自体は起動しましたが、グラボのファンは回らないどころか認識すらしていません。本当はWindows上からデバイスマネージャーを見るとわかりやすいのですが、当時は余ったSSDがなかったので今回は割愛します。
分解

使用しているドライバーセット


もう片方のファンも外し、外装はプラスチックのシェルだけとなりました。
ものすごく汚かったので水洗いしました。
水洗い後は空気清浄機で乾燥し、きれいになりました。
目立った傷はないので外装はこのまま使おうと思います。
Xiaomiの空気清浄機のフィルター(Aliexpress)

起動&各種電源電圧確認
NVIDIA製ビデオカードには通常7個の電圧が存在します。
GND、12V、3.3V、5V、1.8V、NV_VDD、FB_VDD、PEX_VDDです。このうちグランド、12V、3.3Vはパソコンの電源が壊れていない限り正常なはずなので、残りの電圧を調べます。これら3つの電源は、グラフィックカードの外部から電源を供給されているためです。
結果は以下のようになりました。
5V、1.8V、NV_VDD、FB_VDD、PEX_VDDはすべて0Vです。ビデオカードの電源はオンになる順番が決まっており、今回の5つの中では5Vが通常最初にオンになります。つまり、今回の故障原因は5Vにある可能性が高いということです。

5Vの降圧MOSFETドライバ RT9627Aを確認

そこで5Vを生成するICを交換してみました。ICの名前はRT9627Aです。Pascal世代の多くのグラボの5V電源でこのICが用いられています。
結果、動きません。実はICを交換する前にやるべきことがありました。

RT9627Aが動作する条件を満たしているか確認


動作確認

抵抗器を取り付けて発熱があるかどうかを調べます。無事強い発熱が感じられたため、ヒートシンク(仮)を付けてディスプレイにつなぎます。

無事に動作しました。修理成功かと思いきや…
しかし時々画面が突然暗転する! VBIOSを書き換えてみる
しばらく使っていると画面がブラックアウトしてしまいます。
もともとマイニングに使用されていた可能性が高いことから、VBIOSを疑いました。
イーサリアムマイニングだけに関らず、マイニングでは電力効率が重視されるためNV_VDDの電圧を落として使用する場合がほとんどです。AfterBurnerのようなソフトで電圧を落とす場合もありますが、VBIOSを書き換えて電圧を落とす方法もあるためです。

VBIOSの書き換えには、CH341Aと呼ばれるROMライターを使用しました。数百円で購入できますが1つ持っておくと便利です。
CH341Aの購入リンク(Aliexpress)

もともと入っていたVBIOSとTechPowerUPからダウンロードした確認済みVBIOSを比較すると、70%が一致するようです。やはり違うものが入っていました。

結果、自分でつけたところの半田不良が原因だった
これで治っただろうと思いましたが、まだ駄目でした。結果ははんだクラックでした。

個のグラボ、実はかなり初期に修理したものです。前回のmanli GTX1070よりもかなり前です。まだヒートガンを使ったSMD部品の実装に慣れてなかったんです。
グラボ修理のカテゴリを新しく作りましたので、是非ご覧ください。

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